今日は、エンディングノート書き方について解説をします。
「エンディングノート」と聞いて死をイメージする方がほとんどだと思います。しかしエンディングノートは、「死に向かう」ためのものではありません。自分の人生を振り返り、自分を見つめ直し今後に生かすために頭を整理する、とても便利なツールなのです。ここでは、そのエンディングノートの書き方や各内容などをわかりやすくご紹介します。
【 目次 】
- 3.エンディングノートの選び方
- 4.おすすめ11項目とエンディングノートの書き方
- 5.エンディングノートを書き終えたら
- 6.まとめ
【 1.エンディングノートとは? 】
エンディングノートとは文字どおり、自分の人生の終末について記したノートです。
万が一に備えて、家族や友人に伝えておきたいことや自分の希望などを書き留めておけます。
記入しやすい専用のノートを利用することもできますが、普通のノートや手紙形式でもOKです。
法的効力がないので、その分、気軽に書いて、何度でも書き直したりもできます。
エンディングノートと遺言書の違いですが・・・
エンディングノートと遺言書の決定的な違いは、法的効力があるかないかです。
どちらも遺産相続などについて希望を書くことができますが、遺言書の内容は法的に強制力があり、エンディングノートには法的な強制力はありません。
遺言書がなければ、いくらエンディングノートに希望を書いていても100%叶えられるとは言えません。
しかし遺言書には何を書いてもいいというわけではありません。
エンディングノートは遺言書のように決められた事柄だけに縛られることなく、自由に自分の意思や希望を書き留められます。
いざという時に備えられるのがエンディングノートのメリットですが、それだけではないのです。
自分の思いを託す、最後のメッセージ
自分史を書くことで、家族も知らなかったことや思い出を共有することができ、遺された家族への愛情を示すこともできます。
家族や友人それぞれへのメッセージや形見分けリストなどで、自分の思いを伝えられます。
家族の負担を減らせる
介護の希望や延命措置のこと、葬儀や費用の捻出方法などが明記されていれば、本人の判断力が衰えたり意思表示ができなくなったりした時も、家族が迷うことなく様々な選択をすることができます。それにより家族の辛い気持ちも和らげることができます。
自分の経済状況がわかる
自分の資産を正確に記入することはエンディングノートの大切な作業です。
エンディングノートに記すことで、現在の経済状況を把握できるので、人生の終末期をどのように過ごすのかを考え、準備するのに便利です。
また資産を明確にすることは相続にも関わる大事なことです。
今後の人生と向き合える
エンディングノートを書くことは、遺された家族のためだけでなく終活をする上でも役に立ちます。
残りの人生を充実したものにするために、自分の人生を見つめ直し考えるきっかけとなるからです。
【 3.エンディングノートの選び方 】
エンディングノートに決まった形式はありません。
何でも自由に書けるので、エンディングノートを選ぶときは目的を明確にすることがポイントとなります。
・人生を振り返りたいなら、自分史や履歴が書けるものを
楽しかった思い出や乗り越えた辛い出来事など、自分の人生を振り返りながら心を落ち着かせることができます。
・万が一のことが起こったとき重視なら、葬儀や相続の項目が充実したものを
家族の負担を減らしたい、相続が心配、葬儀などに希望があるなどの場合は、それぞれの項目に沿って自分の要望をきちんと書くことが重要です。
・今後の人生に備忘録として活用したいなら、銀行口座や保険の項目があるものを
自分自身の備忘録としても活用できるのがエンディングノートです。
銀行口座や保険、パソコンの暗証番号などの項目があるものが便利です。
・終活のノウハウを知りたいなら、コラムや解説がついたノートを
終活の用語や断捨離の方法などのコラムがついたノートなら、やるべきことが明確になり、エンディングノートを書く際に頭の中も整理できます。
また残りの人生を充実したものにするヒントも得られます。
当事務所においても、お勧めの『エンディングノート』をご準備しております。
ご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
【 4.おすすめ11項目とエンディングノートの書き方 】
必携項目は特にありませんが、遺された家族のためのノートである以上、終末期医療や葬儀・お葬式などの希望や連絡先、財産などの情報を記しておくのはオススメです。
しかし何よりも家族や友人に自分の思いが伝わることが大切です。
1.自分の基本情報について
本籍地や年金証書などの基本情報を書くことで、万一の時に家族が一目瞭然で助かります。
加えて誕生から現在までの自分史や、好きな食べ物や趣味など内面的な部分を書くことで自分自身を振り返り、今後何をすべきかが見えてきます。
また新しい自分も発見できるかもしれません。
<エンディングノートの記載例>
生年月日
本籍地
血液型
家族
家系図
学歴、職歴、資格
マイナンバー
運転免許証番号、健康保険証番号
自分史
人生のターニングポイント
性格、信念
人脈、仲間
趣味・特技
好きな食べ物
2.財産・資産について
年金証書や保険の証書、介護保険証や健康保険証、通帳・印鑑、貴重品などの保管場所は家族であっても知らないケースがほとんどです。
保管場所などを書いておけば家族が対応しやすくなります。
<エンディングノートの記載例>
預貯金
金庫などに保管している現金
不動産
有価証券
貴金属
骨董品など価値のあるコレクション
3.身の回りのこと
SNSなどのデジタル情報はIDやパスワードがわからないと永久に残ってしまいます。
アドレスやパスワード、退会手続きなどの操作方法をノートに記しておきましょう。
4.家族・親族について
家族や親族との思い出や感謝の気持ちなどを残しておきましょう。
形見分けリストを作っておくのもオススメです。
誰に渡そうかと考えるのも思い出を振り返るいいきっかけとなります。
5.親しい友人・知人について
友人や知人、お世話になった方々への感謝の言葉を綴って、日頃言えなかった「ありがとう」の気持ちを残しておきましょう。
写真を一緒に貼っておくのもいいかもしれません。
6.ペットについて
特にひとり暮らしの場合は、残されたペットを引き取り、きちんと世話をしてくれる人を決めておかなければなりません。
ペットは家族ですから、性格や好き嫌い、病歴なども記入しておきましょう。
7.医療・介護について
末期の状態になった時、家族は延命措置などの決断を迫られます。
精神的負担を減らすためにも自己判断ができなくなった時の対応方法を決めておくことは大切です。
また認知症などで意思疎通ができなくなった場合も考えて、介護のことや費用捻出方法、アレルギーや持病、常備薬についても記入しておきましょう。
8.葬儀・お墓について
密葬や家族葬など葬儀の形態が変化しています。
家族と死について話しづらいなら、自分がどのような葬儀をしたいかやお墓のこと、宗教についてもしたためておきましょう。
<エンディングノートの記載例>
信仰する宗教
葬儀の方法(密葬・家族葬など)
納骨の方法・場所
お墓について
遺影に使う写真
9.相続・遺言書について
遺された家族同士でトラブルにならないよう遺言を残しているなら保管場所を記しておきましょう。
また現金、預貯金、不動産、有価証券などの相続財産を整理しておくのも有用です。
それに伴って、銀行口座に対して「お届印」や印鑑証明書の印鑑なども、分かりやすくしておくのもオススメです。
借金も相続財産となるため、正直に書いておきましょう。
10.連絡先
自分の親族や親しい友人の連絡先を記入しましょう。
亡くなったことを連絡してほしい人がいる場合には、その旨記載しておくことをオススメします。
11.自分からのメッセージ
自分史や家系図などを書くことで、これまでの人生を振り返りましょう。
そうすれば、これからの人生を充実したものにするためのヒントを過去の自分からもらえるかもしれません。
【 5.エンディングノートを書き終えたら 】
パスワードや通帳の保管場所などエンディングノートには重要な情報が満載です。
自己責任のもと簡単に見つからない場所に厳重に保管しましょう。
ただし、見つけるのに苦労する場所だといざという時に誰にも見つからない恐れがありますので、信頼できる親族に存在を教えておくのもいいかもしれません。
エンディングノートは書いたら終わりというわけではありません。
定期的に見直して、心境の変化や身体的変化、資産状況などが変わった時は書き直しましょう。
1年に1回など日付を決めて見直すのも、その都度人生を振り返られるのでいいかもしれません。
【 6.まとめ 】
エンディングノートは自分の人生の終末を記すものです。死に向かうためではなく、よりよい人生を過ごし、よりよい死を迎えるためのノートです。
エンディングノートにはたくさんの項目があり、何からどう始めればいいのか分からず、まだ先の話だからと後回しにしている人も多いのではないでしょうか。
しかし生きている限りいつ何が起こっても不思議ではありません。
エンディングノートを書くことは早ければ早いほどいいのです。
エンディングノートは、「よりよく、自分らしい死を迎えるための準備ノート」です。
過去・現在をエンディングノートに書き込みながら振り返ることで、これからの生き方がより明確に見えてくるはずです。
自分らしい充実した生き方を叶えるためにも、エンディングノートを活用してみてはいかがでしょうか?
以上